貧困と自殺

 ここ数年私の周辺で5、6人の人が自殺している。全国では毎年3万人の人が自殺と聞けば、「やはり困窮すする西成では一層深刻だろう」と思うが、西成で生活し、困っている人、悩みのある人の相談などに乗り、様々なボランテアに関わる川浪さんは「僕の周辺ではもっと多いですよ」と応えられる。

 川浪さんを最初にお会いしたのは2年前の夏祭りの三角公園だ。最終日の夕暮れ、公園の隅に設置された祭壇で、その年亡くなった人達の「合同慰霊祭」が行われる。
 例年だとふるさとの家の本田牧師がお話をされ、その後一人ひとりのお名前を読み上げてくれる。
 その年、本田さんの脇でお経をあげてられたのが、きちんとお坊さんの恰好をされていた川浪さんだった。
(実際真宗大谷派の僧侶さんである)
 本田さんとは私が西成にきた頃から知り合いになった。西成の運動が様々に変わっていく中、どこかで、例えば多くは越冬か夏祭りの三角公園で、本田さんにお会いする。
 「いつも元気そうでよかったです」といわれるが、私にしたら逆で、本田さんにそう言われたい為、会った瞬間にこっと笑ってしまうのだ。
 話はとんだが、その時本田さんに紹介された川浪さんは、笑いもせず、「それでは失礼・・」と慰霊祭を後にし、どこぞのお寺に帰られたと思っていた。

 2年後今度は難波屋の奥でドレスを着て、腰ふって、山本リンダを歌ってる川浪さんを発見。
 「アレは双子の弟です」というが、楽しく釜をもりあげよう! という彼の活動の一環のようだ。

 今回磯村健太郎著「ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む」に川浪さんの西成での活動や考えが掲載されており、先日読ませていただく。
 本の帯の文章がわかり易い。
 「僧、駆ける!苦しむあなたに寄り添いたい。 お坊さんたちがたちあがりはじめた!」

 自殺は全くそうでないものもあるが、多くは社会的・経済的要因が背景にあり、それが幾重にも重なり、多くは結果としてうつ状態に陥り、自死してしまう、という考えから、昔のように、自殺は個人の問題、触れたくないタブーとして捉えず、残された者の意識の持ち方、心のケアも含め、皆で考えていこうというものだ。

 もちろん西成など生活保護者が多い地域もそうだが、独居老人が多い僻地や田舎に自殺者が多いのも、こうして社会・経済問題を背景に急増する現在の特徴だろう。
  生活保護者の自殺はそうでない自殺者の2・5倍との数字も出ているそうだ。

 川浪さんも言うように、公園、路上の野宿から、「畳みの部屋」に移れてもなお、心を病んでいく人、悩みを抱え、結果うつに陥ってしまう人を、最悪の結末に追い込まないような、社会全体の取り組みが、必要ということだろう。
 お坊さんの世界でも、やはり自殺は個人の問題、「自己責任」であり、例えば葬式を終えても遺族にかける言葉も少なく、すぐに会場を去ってきた・・という歴史を反省し、しかしかといって、直接何か解決ということではないが、困った人、悩む人にそっと寄り添うこと、が大切だという。
 
 「死ぬな」「もっとがんばれ」ではなく、「あなたに死んで欲しくない」と寄り添い、望むならば苦しい胸のうちを淡々と聞いてあげる。そして「生きてて欲しい」と言葉を添える。
 そんな運動を様々な形ではじめる全国のお坊さんがふえ、更に先の本田さんらキリスト教の方々らとも宗教を超えた連携が生まれつつあるということだ。

 
 
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はなももちび

Author:はなももちび
新潟出身。80年代を東京山谷で過ごし、90年より大阪に。阪神淡路大震災、オウムの地下鉄サリン事件のあった95年秋の道頓堀・野宿者死亡事件以降再び寄せ場に関わる。
 とりあえず食い扶持のため、一杯飲み屋を経営。
 「安く、楽しく、明日も頑張るぜ!」と思ってもらえる店つくりがコンセプト。難波屋、板酒場など周辺の気のあう先輩店とで、被災地支援、反原発の行動を出来る範囲で行なう。
活動の指針は、「力のある人は力を、知恵のある人は知恵を、そして金のある人は金を!」。  

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